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徳蔵刃物

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Vol.9.5【 ニャンコ天皇のパパは包丁天皇 】

7 日前
読了時間: 3分

訳あって、学業の神様として知られる「菅原道真公」について調べる機会がありました。 菅原道真公を語るうえで、重要な登場人物のひとりが、第59代・宇多天皇です。宇多天皇は若くして皇位を継承し、のちに息子の醍醐天皇へ譲位。その後も上皇として、道真公を重用されていたそうです。もっとも、この話を語り始めると長くなりますので、今回はこのあたりで。


 実はこの宇多天皇、「日本で初めて猫を話題にしたブロガー」として、猫好き界隈では知られた存在なのだそうです。 宇多天皇が記した日記『寛平御記』には、愛猫についての記述が残されています。猫の様子を細やかに観察し、その特徴を記録しているあたり、現代の猫好きにも通じるものがありますね。 私も猫好き界隈の末席に身を置く者。そんな話を知ってしまったら、すっかり宇多天皇に興味津々です。 ……ん? 猫好き天皇としてキャラが立っている方がいらっしゃるのなら、「天皇 包丁」で検索したら、いったいどうなるんだろう? ふと思い立って検索してみると、いるんですねえ。料理にゆかりの深い天皇が。 第58代・光孝天皇です。


■在位3年の間に始めた「庖丁式」

あれ? 第58代? 宇多天皇のひとつ前ではありませんか。ということは、宇多天皇のお父上! なんたる偶然。 光孝天皇は、さまざまな事情から、50歳を過ぎてから皇位を継承された天皇です。在位期間は短く、崩御されたのはおよそ3年後のことでした。 そして、料理に造詣が深かったと伝わる光孝天皇には、包丁ネタの見逃せないエピソードがあるのです。 それが、日本料理の儀式「庖丁式」。 光孝天皇の命を受け、側近であり、日本料理の発展に大きく貢献した人物とされる四條中納言・藤原山蔭卿(ふじわらのやまかげきょう)が始めたものと伝えられています。


庖丁式では、包丁刀(ほうちょうがたな)と真魚箸(まなばし)だけを使い、食材に直接手を触れることなく、鯉や真鯛などの魚を切り分け、形よく盛り付けていきます。 そこにあるのは、単に魚をさばく技術だけではありません。食材を敬い、食への感謝を表し、国の安泰や人々の繁栄を願う。そんな意味も込められた、厳かな日本料理の儀式なのだそうです。


しかし、在位わずか3年の間に、庖丁式を始めるのって、当時の時の流れを考えると光孝天皇はよっぽどの料理好きだったのではないかとなんだか親近感が湧いてきます。


猫好きの天皇を調べていたはずが、気がつけば包丁の話にたどり着いてしまいました。 思わぬところでつながる、猫と天皇と包丁の歴史。 それにしても、こういう話に自然と食いついてしまうあたり、もう私もすっかり包丁界隈の人間なんだなあ……と、あらためて自覚したのでした。


勝川春章画・光孝天皇
勝川春章画・光孝天皇



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